Case Study
活用事例
活用事例[詳細]
農チューバーはZ-GISがお好き
~Z-GISで圃場管理、作付け計画を立て、YouTubeで米作りを伝える~
石川県は、加賀野菜に代表される特徴的な野菜の産地であり、米どころとしても有名です。株式会社林農産の林親子は、日々の米作りを消費者に知ってもらうため、YouTubeでさまざまな作業の動画を「林さんちのゆかいな米作り」として公開し、ユーチューバーならぬ「農チューバー」として活躍しています。また、多くの経営体がZ-GISを導入している石川県下でも特に活用が進んでいる生産者でもあります。今回はZ-GISを使った「林さんちのゆかいな米作り」についてお聞きしました。
圃場管理や翌年の作付け計画にZ-GISを活用
10数年前、林農産を含む野々市市の大型農家数名が集まり、農地所有合理化法人を設立しました。これは、各農家が作業をしている農地を把握し、遠隔地の圃場を所在地そばの圃場と交換するなどして、作業の合理化を目指したものです。当時は紙地図で圃場を管理していましたが、現在はZ-GISを活用し、より効率的に作業を行っています。
営農記録を担当する息子の林夢太さんは、Z-GISで合筆管理と栽培管理を行っています。以前は他社のシステムも使用していましたが、今期より圃場管理は、Z-GISだけとしました。Z-GISのフレキシブルさを気に入っていただいているほか、農水省が提供し全農がZ-GISで読み取り可能にした筆ポリコンを使えるところも選んでいただいた理由だそうです。
日々の作業記録として利用しているZ-GISですが、林農産で本格的に活躍するのは、米作の終わった後です。その年にZ-GISで作った圃場データをもとに翌年の作付け計画を立てるために使用しています。10月から12月上旬にかけて、Z-GISに入力した圃場情報をもとに、来年の生産量を予測したり、JAに注文する肥料、農薬の銘柄や数量などを決めていきます。
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作業者が見るために大きく印刷したZ-GISの地図
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Z-GISの管理画面、小さい圃場が多く住宅地に囲まれている
借地•受託作業の代金清算は『産直くん』、圃場管理はZ-GIS
林農産では、作業受託および借地をしている農家から毎年受託依頼書・農地使用に関する書類を提出してもらい、これをもとに借地代金請求を行っています。借地代金は、現金だけでなく、現物支給もあり、管理が大変です。借地代金の請求には、ヤマトシステム開発の顧客管理システム「産直くん」を使用しています。
借地受託作業は、現在の合筆された圃場ではなく、もとの1筆ごとの管理となるため、借地代金の支払いや、米の追加販売による代金請求など、その清算は複雑を極めます。くわえて、作業料金は、標準料金だけでなく、面積や作業場所との距離、田んぼの性状(超湿田など)によっても変わります。その点「産直くん」は、顧客管理システムのため、細かい対応が可能です。林農産では、圃場の管理はZ-GIS、圃場代金清算にかかる業務は「産直くん」と使い分けをしています。
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Z-GISについて熱く語る林さん親子
栽培品種9種類、管理圃場600枚の作業記録もZ-GISで
Z-GISへの入力は、夢太さんが、休憩時間などに作業者から聞き取りした内容や、作業報告に使用しているLINE(ライン)から得られる情報をもとに行っています。作業員は高齢者も多く、全員がスマートフォンが使えるわけではないため、業務報告などのメモ書きを参考にして入力することもあります。スマートフォンによるZ-GISへの直接入力は現在行っていませんが、今後は入力できるよう進めていきたいと考えています。
栽培品種は9種類、管理圃場は600枚です。圃場ごとの詳細な作業進捗管理はしていません。6月中に田植えが終了していれば、よいとの考えです。田植え日や作業日はあとでZ-GISに記入し記録を残しています。
受託作業は、機械を使用するケースもあるため、前年の作業記録をもとに、作業進行を考えながら詳細に計画を立てています。また、自地の作業については、計画は立てず、熟練者が経験にもとづいて行っていますが、これも作業終了後Z-GISに反映されています。
なぜYouTubeとZ-GISなのか
林農産のYouTubeチャンネル「林さんちのゆかいな米作り」では、頻繁に動画をアップしています。社長で父親の浩陽さんは「YouTubeへの動画掲載は農作業日誌の延長」と言います。「農作業を行う上で記録は重要」と考え、紙からデジタルヘと形を変えながら進めてきました。インターネットによる公開を始めてからは、「消費者に米作りと農業を知ってもらう」という目的も追加されました。今では、消費者だけでなく日本全国の農業者からも多くの支持を受けています。
YouTubeはまた、子供へ向けたメッセージでもあります。「日本の食を守るためには教育が重要であり、食農教育こそ日本の農業を支えるために必要なこと」だと浩陽さんは考えています。そのため林農産では、YouTubeだけでなく、子供向けの農業体験や食農教育授業も積極的に行っています。
「Z-GISは世代交代のツールとして必要なもの」だと浩陽さんは言います。今までの手書きの作付け計画は、今どきの若者向きではありません。生まれたときからパソコンに慣れ親しんだ今の若者にふさわしい農業管理が必要だとの思いから、Z-GISを導入しYouTubeでもZ-GISの活用方法について動画を発信しています。
林農産は、今後もZ-GISを活用し、TouTubeで地域に根差した米作りを公開していきます。
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林さんちのゆかいな米作りQRコード
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キャッチーなコピーが躍る林農産のパンフレット
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林農産の主要メンバー。中心の黄色いつなぎが浩陽さん、右隣が夢太さん
インタビュー動画
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営農管理システムZ-GISインタビュー動画