Case Study

活用事例

活用事例[詳細]

CASE-8 使い勝手がよく、長年付き合える営農管理システム
埼玉県/高橋農園

使い勝手がよく、長年付き合える営農管理システムが欲しかった!

~歴史あるサツマイモ産地でZ-GISを導入~

JAいるま野は正組合員が約30,000名を超える埼玉県最大のJAです。埼玉県の南西部に位置し、東京の大田市場までトラックで1時間半という好立地を活かし、鮮度の良い農作物を首都圏に供給しています。気候も比較的温暖で、葉菜類、根菜類、果実、茶など様々な作物を栽培しています。高橋農園は「川越いも」の産地として知られる三芳町で11代続くサツマイモ農家です。園主の高橋敦士さんはJA埼玉県青年部協議会の委員長を務め、若手農業者のリーダーとして活躍しています。その高橋農園が、歴史ある産地を守るための新しい武器として、2020年にZ-GISを導入しました。

11代続く生粋のサツマイモ農家

埼玉県入閻郡の三芳町は「川越いも」の産地として知られ、「いも街道」と呼ばれる県道56号線沿いに29戸のサツマイモ農家がひしめき合っています。産地の歴史は古く、1694年に川越藩主柳沢吉保公が行った開拓に遡ります。長い歴史に裏打ちされたブランドカを背景に、生鮮だけでなく製パン業者や菓子店など業務用の販売先も確保しており、良品から規格外品まで比較的高単価で売り切ることができる優良産地です。

  • 高橋農園はサツマイモ農家がひしめく「いも街道」沿いにある

  • いも街道沿いに立つ看板。直売も行っている

利点はカスタムの自由度と連携性、そして長年使えること

高橋農園は1.7haの圃場で、定番の「ベニアズマ」、農研機構育成の「べにはるか」、比較的新しい「シルクスイート」、地域特産の「紅赤」など6品種を栽培しています。11代目の園主•高橋敦士さんは、子供のころから「就農するのが当然と考えていた」という生粋のサッマイモ農家です。現在はサッマイモのほかにズッキーニやルッコラも栽培していますが、水稲の作付はなく、園芸作物に専念しています。またJA埼玉県青年部協議会の委員長に就任し、若手農業者のリーダーとして活躍しています。

  • 高橋農園の選果場

高橋さんとZ-GISの出会いは、青年部協議会の研修会でした。研修会のカリキコラムの一つとして全農が紹介しているのを見て興味を持ち、試用してすぐに「これはサツマイモ生産に使える」と判断し導入しました。2020年の春に利用を開始し、現在13圃場をZ-GISに登録。土壌消毒、マルチ(使用量)、定植開始終了、防除日、収穫開始終了などを入力し、主に作業記録として活用しています。現在、高橋さんは生産者10戸でグルーフを作り、大口の取引先向けに集荷•出荷を行っていますが、ゆくゆくはメンバーの栽培状況の管理にもZ-GISを利用したいとパソコンで作成した圃場図と手書きの記録考えています。
高橋さんはZ-GISの利点として、①Excelを利用しているため自分の思い通りにカスタマイズできること、②他社のシステムとファイル連携ができることを挙げており、今後も連携の幅が広がることに期待しているとのことです。
高橋さんに話を聞く中で、特に印象的だったのは、「Z-GISを選んだ理由のひとつは、全農が運営していてサービスに永続性があるから」という言葉です。以前使っていたA社の農業日誌は便利で、l0年近く愛用していたものの、メーカーが経営的な理由から「今後バージョンアップを行わない」という判断を下したため、データが無駄になってしまったそうです。そのため、営農管理システムには長年月利用できることが重要と考えているそうです。

  • Z-GISは収穫の開始・終了の入力など主に作業記録として活用しているという

  • 出荷を待つ「川越いも」

Z-GISによる効率管理で、規模拡大と輸出を視野に

以前からパソコンで圃場図を作り、手書きで記録(野帳)をつけてきたという高橋さん。Z-GISを導入したことで圃場地図は電子化できましたが、野帳は今後も利用していくそうです。サッマイモ栽培では畝ごとに品種が異なる圃場があり、これを野帳で管理しているためです。圃場を分割したポリゴンを作成しZ-GISで管理することも検討していますが、当分はZ-GISと野帳の併用が有効だと考えています。また、サツマイモ栽培では両手が土で汚れていることが多く、圃場でスマートフォンを操作するのも野帳に記録するのも難しいため、こうした入力や記帳は帰宅してから行っています。
それゆえ「今後、スマートフォンの位置情報と作業計画から作業を推定し自動入力できたり、音声入力などで作業記録がつけられるようになれば、うれしいですね」と、新しい記録方法に期待を寄せています。
高橋さんは今後もサツマイモを主体とした経営を維持し、規模拡大も検討していく予定です。これまでアジアやヨーロッパの国々を訪れた経験から輸出にも手ごたえを感じており、コロナ禍収束後には海外への売り込みも行いたいと意気込む高橋さん。その発言には、長い歴史を持つ産地を守る強い責任感と意志が感じられました。

  • パソコンで作成した圃場図と手書きの記録

  • Z-GISで作成した地図と高橋さん

インタビュー動画