Case Study

活用事例

活用事例[詳細]

CASE-7 地図のテジタル化で共同防除を効率化
栃木県/JAかみつが日光営農経済センター

地図のテジタル化で共同防除を効率化

~リリース直後の手探り導入も、Z-GISが期待以上の効果を発揮!~

JAかみつがは栃木県の西北部に位置し、北は福島県、西は群馬県に接する南北に長い地域を管轄しています。北部には標高2000mを超える日光連山がそびえ、南部や東部には平坦地が広がる、標高差の大きい地域です。農業では、イチゴ、ニラ、トマトなどの施設園芸作物が特産として全国に知られており、水稲栽培も盛んです。JAかみつが日光営農経済センターはリリース直後からZ-GISに注目し、いち早く水稲の共同防除に導入しました。地図のテジタル化により共同防除に必要な作業を効率化し、担当者の負荷軽減につなげています。

  • JAかみつが日光営農経済センター。広い敷地に直売所や資材店舗が併設されている。

猛暑の中、ラジコンヘリでの共同防除

ラジコンヘリを利用した水稲の共同防除は、地域の水稲栽培を支える上で重要な役割を果たしていますが、作業が一時期に集中し、JAにとっては負担の大きい業務でもあります。日光市病害虫防除協議会は、日光営農経済センターを主体として同協議会が保有する3機、栃木スカイテック(株)が手配する県内外の応援機9機のラジコンヘリをフル活用し、毎年7月末から8月初めに約1,400ha、8月上旬に約400haの薬剤散布を行っています。オペレーターとナビゲーター、JA職員農家2名の合計5名が一組となって、散布圃場の確認やドリフトに気を遣いながら、同時に12地区で作業を進めます。例年猛暑に見舞われる時期でもあり、精神的にも肉体的にも負荷が大きい業務です。
共同防除を行う際、JAでは次のような作業が発生します。①生産者に申込書•同意書と白地図を配布、②申込書•同意書と白地図を回収、③対象圃場を散布地図に集約して作業計画を策定、④薬剤散布の実施、⑤料金の精算と引き落とし。
日光営農経済センターはZ-GISを使ってこの白地図をデジタル化することで、一連の作業の効率化に取り組みました。

  • ラジコンヘリによる防除風景

6000余りの圃場地図を手書きからデジタルヘ

日光営農経済センターの大貫さんと沼尾さんは、上司の勧めで2018年5月に開催された「Z-GIS操作研修会」に参加しました。全農がZ-GISをリリースしたのはこの1か月前で、当時は生産者による利用が始まったばかり。JAの利用事例はほとんどありませんでした。しかし両氏は初めて触れたこのシステムにより共同防除が省力化できると考え、研修から戻ると、早速、圃場の登録を始めました。

  • 日光営農経済センターの沼尾さん、佐藤さん、大貫さん(左から)

日光営農経済センター管内には、今市、大沢、落合、豊岡、小林の5地区があり、各地区に一人すつ配置されている担当者が登録作業を行いました。圃場数はそれぞれ約7000、7800、7300、7400、600です。当時は農林水産省が作成した筆ポリコンが入手できす手作業でしたが、何とか共同防除の申し込みに間に合わせ、デジタル地図の活用が始まりました。
防除の現場には、その日作業を行う圃場の地図を印刷して持参します。Z-GISから出力した地図にWindows付属の「ペイント」で追加情報を書き込み、地図を希望の大きさに切りとって印刷します。圃場情報のファイルには個人情報が含まれることから、私物のスマートフォンは使用せす、印刷した地図のみを利用しているそうです。作業当日に追加やキャンセルが発生したときは手書きで対応しています。

  • 以前使っていた手書きの地図

  • Z-GISで作成した地図

デジタル地図化6つのメリット

Z-GISを利用して地図をデジタル化すると、次のようなメリットが生まれるそうです。

①防除対象圃場を毎年白地図に手書きする手間がなくなる
②昨年の対象圃場を記載した地図を農家に配布できる(以前は白地図を配布していた)
③防除対象面積を自動計算できる(以前は電卓で手計算していた)
④依頼者や面積を地図上に「ラベル表示」できる
⑥「補助図形」機能を使って補足情報を書き込める
⑥非対象圃場を色分けすることでドリフトが予防できる事

日光営農経済センターでは、Z-GISで作成した圃場地図を麦の共同防除(25ha)でも利用しています。また圃場地図が営農指導に応用できることがわかってきました。例えば雑草が発生している圃場の持ち主がわかれば、持ち主に除草剤を提案することができます。こうした営農指導は生産者との関係強化だけでなく、生産資材事業・販売事業の拡大に繋がる可能性も秘めています。
利用開始から3年が経ち、Z-GISは共同防除に欠かせないツールになっています。圃場地図のデジタル化は、期待以上の効果を生んでいるようです。全国のJAに先駆けて共同防除の効率化に取り組んだJAかみつがでは、今後さらにZ-GISの活用の幅が拡がりそうです。

  • 事務所のパソコンでZ-GISを操作する大貫さん

  • 集落ごとにラミネート加工した圃場図

インタビュー動画