Case Study

活用事例

活用事例[詳細]

CASE-6 大規模営農で多面的機能を発揮!
岩手県/農事組合法人なつかわファーム

担い手法人による大規模営農で多面的機能を発揮!

~Z-GISは若い世代にバトンを渡す格好のツール~

岩手県ー関市夏川地区(JAいわて平泉管内)は、農業用河川の夏川を挟んで宮城県登米市と隣接しています。同地区では、碁盤整備とともに担い手への農地集積が進められ、平成26年9月に農事組合法人なつかわファームが設立されました。現在、なつかわファームヘの農地集積率は9割以上になっており、岩手県オリジナル水稲品種「金色の風」の栽培や飼料用米栽培などの耕畜連携に取り組んでいます。

大区画圃場に対応する農機や省力化技術を積極導入

ー関市夏川地区の圃場は、かつて小区画(10a程度)で7,600筆(54l ha)にも分かれており、作業効率が悪く、農地の集積も進んでいませんでした。約l5年にわたる基盤整備事業により、圃場の大区画化が図られ、基盤整備後の現在の圃場数は以前の10分の1の760筆(525ha)となりました。その約9割を耕作するのが農事組合法人なつかわファームです。佐藤組合長は「担い手不足が深刻化する中、夏川沿岸区の地域農業を守る担い手経営体として誕生しました」と話します。
470haの農地では主食用米(ひとめぼれ、岩手県オリジナル品種金色の風)、飼料用米、WCS(ホールクロップサイレージ)などが作付けられ、園芸品目も栽培されています。同法人では、大区画での作業に対応するため、直進アシスト田植機、情報支援機能付きコンバインなどのスマート農機を積極的に導入しているほか、湛水直播(鉄コーティング)、乾田直播などの省力化技術も取り入れています。また、同地区基盤整備された圃場(Z-GISハイブリッド画像)はある生協の指定産地にもなっており、消費者との交流を図りながら結びつきを強化しています。

  • 基盤整備された圃場(Z-GISハイブリッド画像)

膨大な数の圃場管理に苦慮した末に

なつかわファームでは約670筆の圃場を管理しています。以前は、紙地図やPDFの地図をなぞって圃場図を作成していましたが、効率的に圃場管理ができる営農ソフトを探していました。Webアプリ型の営農ソフトの導入を試みましたが、「圃場の入力で断念しました」とのこと。そのような折にJAいわて平泉の担当者からZ-GISを紹介され、実際に使ってみたところ「サクサク動く」「印刷ができる」などの点が決め手となり、平成31年3月に導入しました。

  • なつかわファームの作付け図(品種・栽培様式によって色分け) 圃場が約5km四方にわたって分布していることがわかる

様々な場面でZ-GISが大活躙

なつかわファームでは事務局長の菅原さんと事務局員の佐藤さんが主にZ-GISを使用しています。年ごとの作付け品種の圃場図は色分け、ラベリングされて、大判印刷したものを事務所内に掲示しているほか、ラミネート加工されたものも用意されています。同法人では、もともと土地情報や組合員情報を別のデータベースソフトで管理しており、圃場番号をキーコードにしてそれらの情報をZ-GISデータと結合し、データの見える化をしています。菅原さんによれば、「毎日、何らかの問い合わせが組合員さんからくるので、その都度Z-GISで確認することが多い」とのことです。
また、同法人では圃場管理作業を約120人に委託をしており、その委託管理にもZ-GISを活用しています。圃場の状況や作業の進捗について、委託者とのやり取りが頻繁に生じるためです。さらに耕畜連携の取組みでは、稲わら利用の有無、稲わらロール数の管理、引き取り時の地図などにZ-GISを活用しているほか、基盤整備や中間管理機構の業務を受託する土地改良区とのやり取りにもZ-GISの圃場図が使われています。

  • 菅原事務局長がZ-GIS で作成•印刷した圃場図は、常に事務所内に掲示されている

  • 集落ごとにラミネート加工した圃場図

Z-GIS+スマート農業でめざす新たな 営農管理

令和2年度産米では、Z-GISの圃場データをもとに国際航業(株)の「天晴れ」によるリモートセンシング作物診断を行いました。「この診断結果と倒伏状況や収量との関係を検証するとともに、複数年のデータを積み上げて圃場の傾向をつかんでいきたい」と、Z-GISの新たな活用を見据える菅原事務局長。
また、佐藤組合長も「職員の作業進捗はスマート農機からの情報で把握できますが、ゆくゆくはすべての圃場の作業進捗や稲の生育状況をZ-GISを通じて把握できる仕組みをつくりたいと考えています」と今後の展望を語ります。
これらの実現に向けなつかわファームでは、Z-GISの機能更新についても常に定期メール等で確認しており、わからない点があればFacebook上で質問をして、「Z-GISユーザーの会」からアドバイスを受けるなど、さらなる活用に向けた情報収集にも余念なく取り組んでいます。

  • PCやタブレットでもZ-GISを利用

インタビュー動画