Case Study

活用事例

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CASE-4 Z-GISから生まれる水田営農管理の新たなスタイル
鳥取県/JA鳥取中央

Z-GISから生まれる水田営農管理の新たなスタイル

~県や取引先との情報共有ツールとしての利用価値~

JA鳥取中央は、鳥取県の中央部、倉吉市、琴浦町、北栄町、湯梨浜町、三朝町の1市4町にまたがるJAで、スイカ、メロン、梨、ぶどう、らっきょう、長芋など園芸作物の栽培が盛んです。北栄町(旧大栄町)で生産される大栄西瓜や鳥取を代表する二十世紀梨は、全国に知られる特産品となっています。稲作も盛んで、コシヒカリ、ひとめぼれ、きぬむすめが作付けされているほか、鳥取県農業試験場が育成した県オリジナル品種「星空舞(ほしぞらまい)」の普及に向け、新たな取り組みが始まっています。

  • Z-GISを導入した水田営農課の野見課長

  • 入力作業は机上のパソコンで行う

期待の星「星空舞」の情報をJAと鳥取県が共有

鳥取では、オリジナル米「星空舞」の普及に県をあげて取り組んでいます。5年後に「星空舞」が県内の主食米栽培面積の25%になることをめざしており、本年度は360haで栽培されています。JA鳥取中央管内でも取り組みが始まり、約900圃場に作付けされています。

「星空舞」とは?
鳥取県農業試験場が約20年の歳月をかけて開発した品種。炊いたご飯のツヤや光沢が優れ、粒がしっかりとして適度な粘りがある。試食アンケートでは半数以上の方が「甘い」と回答した。また、冷めても食感が変わりにくい、高温条件下でも品質が低下しにくい性質を持ち、鳥取県内の一等米比率向上が期待されている。(鳥取県のWebサイトより引用)

「星空舞」は鳥取県とJAグループが協力して取り組んでいる品種であるため、作付け圃場や栽培状況などの情報を両者で共有する必要があります。そこで野見課長は、「星空舞」の情報共有にZ-GISを利用することにしました。「星空舞」は農家の希望に基づいて作付けされており、圃場はJA管内の広範囲に散在しています。これらをすべてZ-GISに入力し、営農センターの担当者が圃場の位置を把握できるようにしました。また、JAと県普及員も閲覧できる環境とすることで情報を共有することにしました。
「星空舞」を栽培するすべての圃場には、小型の看板が立てられており、その裏側には生産者により田植日が記入されています。JAや県の担当者は担当地区の圃場を回ってこの田植え日の確認を行いましたが、その際の圃場特定にZ-GISの地図が威力を発揮しました。また、7月下旬には担当者が圃場の葉色を測定し、追肥の判断を行います。以前は、こうしたときも農家に立ち合ってもらい対象圃場を特定していましたが、Z-GISがあれば担当者だけで作業を済ませることができます。

  • 「星空舞」の圃場には目印として小さな看板が設置されている

  • 看板の裏に生産者が田植日を記入

Z-GISで無人ヘリ防除受委託を効率化

鳥取のジェイエイアグリサービス株式会社(以下、アグリサービス)は、JAグループが出資する農作業受託法人で、水田の耕うん・代かき、田植え、無人ヘリ防除といった作業を請け負っています。JA鳥取中央も無人ヘリ防除を同社に委託しており、水稲生産の重要なパートナーとなっています。野見課長は、Z-GISを利用してこの受委託を効率化しようと考えています。
無人ヘリ防除をアグリサービスに委託するには、①農家が注文用紙に記入、②支所担当者が注文を取りまとめて実施日を調整、紙の地図で同社に指示、③実施当日、営農センター担当者立会いのもと対象圃場を確認しながら防除作業を行う、という手順を踏みます。これにZ-GISを用いアグリサービスと情報共有すれば、委託圃場の管理が効率化できるとともに対象圃場の特定が容易になり、JA職員の立ち合いなしで作業を行える可能性があります。早朝に行われる防除作業への立ち合いがなくなれば、職員の負担を軽減することができます。今年中に管内の三朝地区で試験を行い、効果が確認できれば他の地区に広げていく予定です。

JA鳥取中央では、Z-GISへの圃場情報の入力を完了し、実務での利用が始まりました。当初から目的が明確であったことが、迅速な取り組みに繋がりました。水田営農課がZ-GISに入力した7万圃場の情報は、他の品目や業務にも応用可能であり、今後様々な場面で活用が進むものと予想されます。

  • アグリサービスによる無人ヘリのデモフライト

  • 品種で色分けした圃場。紺色が「星空舞」