Case Study

活用事例

活用事例[詳細]

CASE-2 水郷地帯の営農で威力を発揮
滋賀県/農事組合法人 愛農の郷おさだ

水郷地帯の営農で、Z-GISの多彩な機能が威力を発揮

~きめ細やかな圃場管理に最適なZ-GISの色分け機能~

滋賀県のほぼ中央にある近江八幡市は、琵琶湖、内湖、河川、湧水といった多様な水環境を有する水郷地帯として知られています。地域ではこの豊かな水資源を活かした農産物ブランド「水郷野菜」の生産や2013年に生まれたブランド米「みずかがみ」などの米作りが盛んです。
「愛農の郷おさだ」(以下、おさだ)は、2011年に設立された滋賀県近江八幡市長田町に拠点を置く農事組合法人です。
みずかがみやキヌヒカリ、コシヒカリ等のお米や大豆、ビール麦など約240筆を管理しています。当法人の特徴の一つが、これら圃場1筆ごとに番号を振るきめ細やかな圃場管理です(写真-1)。また、JAグリーン近江が主催する平成27年度「プリップリ米コンクール」では、「キヌヒカリ」部門の「最優秀賞」を受賞しており、食味や生産技術にも定評があります。
そして、滋賀県内でいち早くZ-GISを導入したのも「おさだ」であり、様々な栽培管理で利活用を進めています。

  • 写真-1 各圃場には圃場番号を記載したボードを設置

OSや圃場管理用ソフトの切り替えを機に導入を決断

おさだがZ-GISを導入したのは、今まで使用していた地図データを管理しているPCのOS(PCを動かすためのソフトウェア)のサポート切れがきっかけでした。当時インストールされていたOS・WindowsXPは2014年4月にMicrosoft社のサポートが終了しセキュリティ上の問題等が生じる可能性があったため、おさだではそれに対する対応を迫られていたのです。そこで、JAグリーン近江のTAC担当者から紹介されたのがZ-GISでした。
Z-GISを導入する前は、土木に関わりのある組合員から図面ソフトの地図データを提供してもらい、紙に出力して圃場管理をしていました(写真-2)。
しかし、ソフトのバージョンアップ等の兼ね合いから、いつまでも提供してもらえる保証がなく、代わりとなるシステムを探していました。そこで、TACから紹介された1か月間無料の「Z-GISお試し版」 を使ってみたところ、圃場登録が容易であることや栽培管理等で使用していたExcelデータがそのまま使用できること、導入費用が安いことなどから、正式に導入することを決断したのです。

  • 写真-2 印刷した地図

地図の色分け機能が、圃場管理や資料作りに大活躍

おさだでは、Z-GISで圃場番号や面積、所在地、年度別に記録している圃場の耕作者や水稲品種、転作作物(2017年分から記入開始)を記録・管理しています。圃場管理する上で特に重宝しているのが、品種(写真-3)や水稲栽培委託者(写真-4)、転作作物(写真-5)で色分けする機能です。
例えば、品種毎に色分けすることにより、作付品種の大まかな圃場数やエリアを把握することができます。さらに圃場番号を文字で表示させる機能(=ラベル表示機能)を使えば、単にポリゴンデータ(地 図画面に映る圃場に合わせてZ-GISで作成した圃場の位置データ)を読み込んだ地図を俯瞰するより、飛躍的に効率のよい管理が可能です。
おさだでは、これらのデータ(写真3~5)を年に1度開催される総会や再生協議会、農業共済関係の提出資料として用いています。理事を務める髙木氏は、「土地勘がない人にとって紙地図(写真-2)のような資料はわかりずらいが、Z-GISの航空写真なら見やすいし、理解されやすい」と評価しています。

  • 写真-3 品種で色分け

  • 写真-4 水稲栽培作業委託者で色分け

  • 写真-5 転作作物で色分け

将来的には組合員の作業記録をZ-GISで!

おさだでは、5年前から写真-6のような作業指示書を作成しています。組合員は作業前に指示書を確認してから作業を行います。作業指示者は作業数に応じた枚数を出力し、品種ごとにマーカーで色分けし、作業日を記入します。作業者は指示された作業が終わった圃場に手書きで○を記入します。
髙木氏は、この作業指示書の作成や作業前の確認、作業の記録をZ-GISで行いたいと考えています。作業内容と作業日が書かれたExcelシートを作成してZ-GISに反映させ、色分けやラベル表示機能を使って管理することによって、より省力化できると期待しています。
2018年にはZ-GISを使って作業指示書を試験的に作成しました(写真-7)。米の刈取りの作業指示を、図面ソフトからZ-GISの航空写真に変えたものです。これは2018年産米の刈取り指示書として活用されました。
髙木氏は、「今はまだ、作業進捗や作業指示の管理は紙媒体で行っているが、いずれはZ-GISを用いてクラウドにファイルを格納することにより、組合員がスマホ等で作業の進捗状況をどこにいても確認できるようにする。そうすることでZ-GISの便利さを実感してもらえるはずだ」とZ-GISのさらなる活用に自信を覗かせています。

  • 写真-6 現在使用している作業指示書

  • 写真-7 Z-GISを使って作成した刈取り指示書