Case Study

活用事例

活用事例[詳細]

CASE-1 伝統技と先進技術を融合した農業を展開
石川県/有限会社たけもと農場

Z-GISを駆使し、伝統技と先進技術を融合した農業を展開

~従業員間のコミュニケーションで拡がるZ-GISの活用場面~

有限会社たけもと農場は、金沢平野の一角、霊峰・白山の雪解け水に恵まれた能美市牛島町にあります。京都南禅寺の荘園時代からつづく歴史ある米どころで、近くには九谷焼の陶芸村や北陸最大の古墳群が点在する歴史豊かなところでもあります。竹本家は代々稲作農業を営み、先々代の平一氏は、その技術が高く評価され「米作日本一」「天皇杯」などを受賞した、日本を代表する農業者でした。10代目の現社長彰吾氏が率いる現在のたけもと農場は、水稲を中心に作付けを行う農業法人で、経営面積47haを9名で管理しています。

  • 先々代によるたけもと農場関連著書

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匠の技をデジタル化して伝承

現在のたけもと農場は、半径約1km圏内に集約した圃場で高品質米の生産をめざし、有機質肥料やたい肥を積極的に施用して、土づくりに取り組んでいます。最近では、イタリアのカルナローリ米の作付 けや、6次産業のオリジナルブランド「テーデルゲン」の展開など、新しい取り組みにも積極的にチャレンジしている経営体です。社長の竹本彰吾氏は、全国農業青年クラブ連絡協議会(4Hクラブ)やアグリファンド石川(後述)の会長も務め、全国の若手農業者らに幅広いネットワークを持っています。  たけもと農場は、「先代からの情報のバトンパスで、品質向上と次世代に情報提供する」ことをめざしており、そのためのツールとしてZ-GISを活用しています。Z-GISは、Excelを使って記録項目を自由に設定できるので、独特な栽培方法や通常項目にないような作業が発生しても、その場でリストを作成し、記入することができます。先代の行っていた米作りに関する記憶や口伝、メモによる記録・指示をデジタル化することで的確なデータの保管ができ、細やかな事業承継を進めることができます。

作業記録を共有化して改善へつなげる

たけもと農場では、春作業の振り返りとしてZ-GISを活用し、作業予定日と実際に作業を行った日を並べていき、どのくらい作業が遅れたのか比較表示ができるような計算式を作成しました。これにより作業が遅れた原因を明確にし、作業者の配置に無理がなかったか、天候による遅れはなかったか等を分析した上で、次年度に向けた改善策を従業員全員で検討しています。

  • 大型モニタは管理内容を決定する際に全員で確認できる
    重要アイテム

  • 事務所には経営圃場がわかる地図を拡大印刷して表示

Z-GISの強みは地図を使った表現力

竹本社長が代表を務めるアグリファンド石川は、石川県内で活躍する個性的な農家が集う団体です。
前身は総合資金借入農家の農業経営・相互研究の場として1977年に設立された「総合資金友の会」です。現在は、補助金に頼らず自立した経営を行うため、栽培・マーケティング・6次化と時代に先駆けたテーマの研修や、金融に関する研修会などを開催しています。また、40周年を機に、それまでの自立した経営をめざすための情報収集だけでなく、情報発信やそれらを共有する場にするため、プロジェクトチームを作り農業経営の課題解決や研究に取り組んでいます。
そのアグリファンド石川の意見交換会で出席者にZ-GISについてうかがったところ、「エクセルを活用しているのでとてもわかりやすい」「データを地図上に標記できる機能に優れている。どんなデータをマッピングするのか考えて使用すると活用場面が増える」と好意的な意見をいただきました。特に、品目ごとに地図上のポリゴンを色分けして表示する機能や、その色を自分好みに変更できる機能が好評でした。

他の営農管理システムや最新器機との協調を模索

たけもと農場では、トヨタの農業IT管理ツール「豊作計画」も使用しています。豊作計画は、GPSと連動し「作業開始-作業終了」が入力できるので、作業記録を迅速に行えます。竹本社長によると、記録内容を確認する能力は、Z-GISの方が優れているそうです。「Z-GISはマッピング機能に優れているので、シーンに合わせて使い分けています。今後は、收量コンバイン導入を検討し、Z-GISの活用場面に組み入れられればと考えています」。

対話から生まれた記録機能のメモ欄活用術

たけもと農場では、Z-GISの記録機能について、スマートフォンなどからの直接入力だけでなく、メモ書きを残しておき、あとでまとめてパソコンで入力するなど、効率的な方法を模索しています。また、従業員から「メモ書きのできる行を加えてほしい」との要望があったため、Z-GIS圃場管理データにメモ書き列を加えることにしました。ちょっとした作業の備忘録として活用することで、水田に水を入れたタイミングなど忘れやすい事柄を従業員同士が共有し、作業管理に役立てることができます。また、メモ欄に雑草や病気の発生状態を記入しておくと、前年の状態も含め記録を残せ、翌年以降に散布する薬剤の選定に役立てることができます。

全農は、たけもと農場と、Z-GISに関する連携協定を令和元年6月に締結しました。今後、経営の効率化に向けたZ-GISの活用方法を確立するとともに、たけもと農場の意見をZ-GISの機能強化につなげていきます。

  • 全農常務久保と竹本社長

インタビュー動画